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平成時代のツキノワグマ
なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?

自然の変化を鋭く見つめ続けてきた
動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ

ツキノワグマのするどい牙

騒音や人をおそれない新世代のツキノワグマが、毎年誕生しながら、現代の自然界に着実に定着し、その数を増やしてきています。

大型トラックが轟音をたて、ひっきりなしに行き交う高速道路の脇で、クルミやクリの木に登って、のんびりと時間をかけて餌を食っていくツキノワグマは、笛や鈴を鳴らせばにげていくような臆病者ではありません。

ツキノワグマを長年にわたって観察してきた体験をとおして、ボクはますます、自然界を語るときは、人間とあらゆる生物とをおなじ土俵においてから、人間中心ではなくて、動物たちからの視線で、それをみつめる必要のあることを知るようになりました。
ようするに、クマならクマの視線で、人間の行動や、平成という現代社会をみたら、どう写るかということです。


ツキノワグマに襲われて戦った人の話…

2003年9月13日の早朝。長野県上伊那郡飯島町でKHさん(65歳)がツキノワグマと戦ってケガをした。
朝5時半に起きたKHさんは、そのまま自宅裏にある田んぼを見回るために庭にでた。 家から40mほど離れた田んぼの脇で、いきなりツキノワグマが襲ってきたのだ。
いわば出会い頭のクマとの遭遇だったが、KHさんはクマにのしかかられて地上に倒された。

ここがKさんの家。すぐ脇を国道が通る
矢印のところでKHさんはクマと遭遇した。
撮影地の背後100mのところには高速道路がある。

自宅裏庭で熊と戦った

このときに、脇腹と下腹部、大腿部を爪と牙で攻撃されてかなりの傷を負った。
KHさんは仰向けに倒されて攻撃を受けているときに、偶然にも自分の足2本がクマの腹にあることに気づき、力いっぱい蹴り上げたそうだ。
そこで、クマはひるんで逃げていったという。 この情報を翌日につかんだボクは、KHさんのお宅へ走って傷口をみせてもらった。
大腿部にはクマの牙が刺さり内出血も広範囲におよんでいたが、右下腹部の盲腸付近の牙による傷は相当に深いものがあった。
全体的にはかなり痛々しかったが、このくらいで済んでまずは不幸中の幸いと思っていいだろうと感じた。
KHさんの負った傷
クマの爪と牙は鋭いので、人間にとってはダメージが大きい。

KHさんも、 『なーにワシの不注意だったことだし、こんなこと恥ずかしいことだで、な。』 そういって、役場や警察にも通報せず、医者にもかからず絆創膏を貼っただけで、仕事に出てきたそうだ。 それをみて、仕事仲間が「破傷風」になってもいけないからといって、仕事場からわざわざ病院へ連れて行ったほどだ。

中央アルプスのけもの道に出てきたツキノワグマ

ここで、ボクが事故現場をみて考えたことは、ツキノワグマがあまりにも住宅街に入り込んできていた事実である。
現場までツキノワグマが山から出てくるには、中央自動車道路をまたいでこなければならない。そして、国道に匹敵するくらいに交通量の多い道路を横断しなければKHさんの庭先まで到達できないという事実である。
そうした人間社会の懐深くまでツキノワグマが平気で侵入してきていることに、まずは興味がわいた。
こうした人里へのツキノワグマの侵入は、5−6年ほど前から若干の兆候が見られていただけに、今回はボクの懸念を再確認することができたからでもある。

ロボットカメラをのぞき込む

この事故以来わずか3年ほどしか経っていないのに、今年のツキノワグマのすざまじい動きをみると、単にドングリなどの「餌不足」だけでは語れない変化がツキノワグマに起きていることは事実だからである。

環境問題
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講演案内もくじ

講師
宮崎 学の
著書紹介

ツキノワグマ

騒音や人を恐れない新世代のツキノワグマが、着実にその数を増やしている。なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか? 長野県を舞台にツキノワグマの変化を鋭く視つめ続けてきた動物カメラマン・宮崎学が、その謎に迫る。

洗剤キャップの
棲み心地は

自然環境は、人間の営みと共に変化している。「都市化」「国際化」「過疎化」「飽食」「ゴミ問題」…。環境変化の中で、野生動物はしたたかな戦略で生きている。数十年間、その変化を見続けてきた宮崎学が写真と文章でつづる最前線レポート。

死ーDeathinNature

自然界の生死にカメラを向けてみると、死を待っている生物がたくさんいることに気づいた。いわば、他の動物が死んでくれないと生きていけない生物がいたのである。他の生物に食われて自然に形がなくなっていく。それこそが、自然の生命としてもっとも幸せなことかも知れない。

<関連サイト>| 宮崎学写真館 森の365日gakuの今日のヒトコマツキノワグマ事件簿五感で観察するWeb自然図鑑
森の仲間コミュニティ(SNS)野生動物・森のライブカメラ
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動物写真家 宮崎学の視点でみた、自然界からの人間社会へのメッセージ