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自然からのメッセージ/生き物たちから学ぶ

〜森と土とフクロウのはなし〜

写真集『フクロウ』
 フクロウ谷は、伊那谷の静かな山村にひっそりとあります。   
 人工的な物音ひとつしない山間で、聞こえてくるのは小川のせせらぎと松風のみ。
こんなにも静謐な世界があったのかと思えるほどの深夜の森から、フクロウの会話がもれてきます。

フクロウ谷の全景

真ん中の照明にてらされたところに、フクロウがやってきます。
 フクロウほど、魅力あふれる鳥はいません。
 丸い顔に、まんまるの眼がいい。この顔には表情があって、親しみぶかくて、知的で、哲学的なところがある。
 フクロウは姿もいい。フワフワの羽毛につつまれ、着ぶくれたその形がいい。それでいて、生きているという猛禽類のもつ魂が、どこかに感じられます。
  さらに、夜行性ということで、その生活のすべてを神秘のベールにつつんだまま、私たちに想像させるだけの生きかたをしているのが、これまた不思議な魅力です。
 これほどまでに魅力的な鳥だからこそ、私は、フクロウのことをもっとよく知りたいと思いました。
  自然のなかで生活する未知なる姿にあこがれ、それを発見し、驚きと感動を経験したかったのです。
 そこで私は、南アルプス山麓の森に、フクロウと対話するための山小屋を建てました。電気工事もして、自然の大きなスタジオをつくってしまったのです。
  照明がともり、センサーがセットされたそのスタジオに、フクロウは野生の姿そのままでやってきてくれました。

観察小屋

この小屋内に、簡易二段ベットが3つ。
夜間観察なので、眠くなった方はそのままお休みできます。
ちょっと窮屈ですが、野外観察だから、そこはお愛嬌。
 やがてフクロウは、私とも顔なじみになりました。
  「知恵の神様」「学問の神様」ともいわれるフクロウは、その高い学習能力にものをいわせて、私を受け入れてくれたのです。
  山小屋にいる私を、かれらの生活には完全に無害であることを認めてくれたのです。
  そして、ハイテク装置をほどこされた「フクロウ谷」で、自由自在にその野生の姿を、私に見せてくれたのでした。
 それは、私にとってはまさに、あこがれていた野生の世界を見る驚きと、発見の繰りかえしでした。

こんな感じに、フクロウがとまります

小屋からの距離は100メートル。
双眼鏡や望遠鏡で、表情がはっきり見えます。
 フクロウは、野ネズミが主食です。たった1羽のフクロウが、一年間におよそ2500匹の野ネズミを食べます。
 このためにフクロウは、夜間でもよく利く大きくて視力のいい眼をもっています。また、超音波をステレオで聞くことのできる感度のいい耳ももっています。
  そして、獲物に気づかれないように羽音を消すことのできる特殊な羽毛も、身につけています。
 そして、フクロウは樹洞に巣をつくり、子育てをします。その樹洞は、フクロウが世代交代を繰り返しながら、毎年使われ続けているのです。

とまり木

森から音もなくやってきて、ふわりと止まります。
 こんなに長い年月、フクロウが使える樹洞は、数百年も生きてきた大木にしかありません。そのような森を育てているのが土です。
 土といってもただの土ではありません。土壌バクテリアがたくさんいる土です。土壌バクテリアは、落ち葉や動物の糞などいろんな有機物を分解して、健康な土を作っています。
 その土にトンネルを掘って生活しているのが野ネズミで、そのトンネルがバクテリアたちに新鮮な酸素を送る役目を担っているので、有機物を分解できるのです。
  そこでフクロウは、その野ネズミが増えすぎないように食べてコントロールしながら森に住まわせてもらっています。

雪の夜は、神秘的

フクロウ谷で、雪降りはとても少なく貴重です。
 こうして見てみると、フクロウ→ネズミ→バクテリア→樹木…といった環境の輪が見えてきます。フクロウは「森の哲学者」ともいわれますが、この鳥を見ているだけで、森の不思議さ大切さがわかります。
 ボクはフクロウが「私の目を通して見た森と自然の話をみなさんに伝えて欲しい」と言っているように感じるのです。

夜間のフクロウ

夜間のフクロウは、きりりとしていて、
見ているだけで魅力的。

昼間のフクロウ

昼間は、このようにじっとしているため、まず見つかりません。

環境問題
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講演案内もくじ

講師
宮崎 学の
著書紹介

ツキノワグマ

騒音や人を恐れない新世代のツキノワグマが、着実にその数を増やしている。なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか? 長野県を舞台にツキノワグマの変化を鋭く視つめ続けてきた動物カメラマン・宮崎学が、その謎に迫る。

洗剤キャップの
棲み心地は

自然環境は、人間の営みと共に変化している。「都市化」「国際化」「過疎化」「飽食」「ゴミ問題」…。環境変化の中で、野生動物はしたたかな戦略で生きている。数十年間、その変化を見続けてきた宮崎学が写真と文章でつづる最前線レポート。

死ーDeathinNature

自然界の生死にカメラを向けてみると、死を待っている生物がたくさんいることに気づいた。いわば、他の動物が死んでくれないと生きていけない生物がいたのである。他の生物に食われて自然に形がなくなっていく。それこそが、自然の生命としてもっとも幸せなことかも知れない。

<関連サイト>| 宮崎学写真館 森の365日gakuの今日のヒトコマツキノワグマ事件簿五感で観察するWeb自然図鑑
森の仲間コミュニティ(SNS)野生動物・森のライブカメラ
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動物写真家 宮崎学の視点でみた、自然界からの人間社会へのメッセージ